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薬草クラブ

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薬草クラブ タンジン・丹参

寄贈者名・産地・年月日・経歴:1996,4摂南大学

薬用部位・効能・開花・採集時期:開花は5~6月。収穫は秋、赤い根を天日乾燥。

繁殖法:4月種子蒔き。4月根を手で5cm程に切って頭を出して縦に植え付け。

 

丹参

[気味]苦、微寒

[帰経]心・肝

[主治]活血祛瘀・涼血消腫・清心除煩

 

中国東北部の向陽地に自生。

丹参は苦・微寒で、苦で泄降し寒で清熱し、心肝二経の血分に入り、活血祛瘀・清心除煩に働く。主として涼血活血通経の効能を持つので、血熱瘀滞による月経不順・月経痛・無月経・腹腔内腫瘤あるいは産後瘀阻の腹痛・悪露排出不尽・少腹作痛にもっとも適し、瘀血阻滞による少腹刺痛や肝欝脇痛にも有効である。また、涼血消腫・通経止痛の効能により癰腫瘡毒・熱痺疼痛に、清心除煩・安神定志の効能により熱入営血の心煩不寝に、それぞれ効果がある。

 

[参考]

①丹参は祛瘀通経の薬物であり、「瘀血袪(のぞ)けばすなわち新血生ず」の意味で、四物湯のような補血の効能はない。

②丹参・川芎は活血調経に働き、瘀血諸痛・癰腫瘡毒・関節痺痛に用いられる。

川芎は辛温で活血行気・散寒止痛に働き、寒凝の気滞血瘀に適する。また、川芎は祛風止痛により頭痛に効能があり、丹参は清心安神により煩熱神昏に有効である。

 

[使用上の注意]

①純虚で瘀滞のないときや虚寒には使用してはならない。

晩秋から初春に収穫した根を乾燥したものが生薬「 丹参タンジン 」で、『神農本草経』の上品に収載されている。味は苦く、薬性は微寒。根が朱紅色を呈することから、名医別録には「 赤参セキジン 」の別名で記載されているが、李時珍は「五参はその五色がそれぞれ五臓に配するもの」として五行説を述べ、そのなかで「丹参は心に入るから赤参という」としている。伝統的に心臓、循環器系の疾病に有効で、特に心臓や肝臓の過剰な熱を取り除く作用の強いことが知られている。さらに、『婦人明理論』には「四物湯は婦人の病を治すもので、産前・産後、経水多少のいずれを問わず、すべてに通用するものであるが、ただ一味の丹参散の主治はその四物湯と同一である。ただし、丹参は 能ヨ く宿血を破り、新血を補い、生治を安んじ、死胎を落とし、崩中、帯下を止め、経脈を調える功力が大いに 当帰トウキ 、 地黄ジオウ 、 芍薬シャクヤク 、 川芎センキュウ に類似しているからである」とある。すなわち、主要な薬効は婦人の血流のよどみを解消する作用で、血液浄化、調経、消腫、鎮痛薬として月経不調、腹痛、閉経や産後の 悪阻オソ 腹痛、リウマチなどに応用されるのである。ただし、鬱血のない者および妊婦は理由なく服用してはならない、とされている。

 

成分としては、タンシノン(tanshinone Ⅰ、Ⅱ-B)、クリプトタンシノン(cryptotanshinone)、タンシノール(tanshinol)などが知られている。近年の科学的研究により、タンシノンは冠状動脈の循環に絶大な効果があり、狭心症などの症状を緩和し、心機能を改善することが確かめられた。中国では、単離された成分よりも生薬全体を、心臓発作から回復しつつある患者に使うことが多いらしい。臨床的には、予防薬として用いるほうがより効果的とされる。